リアルタイム以降二周目をした『仮面ライダードライブ』完走しました。
『W』以来の三条陸脚本の謎解きものライダー第二弾。
リアタイでは半分卒業状態だったライダーに対して夏の劇場版を再び劇場で観るなどライダー熱のギアがかかりだして、Twitterで感想を投稿するようになったのもこの時期なので思い入れは少なくない。
『ドライブ』、一言で表すなら大森Pの色が出始めた作品だったなと思う。
仁良や蛮野といった悪役が好き勝手暴れて、最後に倒されることで得られるカタルシスも満足にあるとは言えないオチ。
前者は余計な捨て台詞のせいで無駄に後味悪いし、後者は複数のメインキャラの直接の死因になってるので倒されたところでスカッとはしないからだ。(チェイサーマッハ登場や「イッテイーヨ」の展開はよかったけどね。)
散々悪事を働いてきたロイミュードがいつの間にか被害者みたいになっている意見は、ライダーと共闘するのは最後の最後だけだったし108体全員撲滅という罰は受けていたのでそこまで気にならなかったかな。
三条陸脚本は後々の作品と比べると比較的見やすい脚本だし松岡充の爽やかなOP主題歌がいい清涼剤になってくれるのでまだ見れた。
竹内涼真の成長具合を見れるのもいい点だった。感情を露わにする演技も多いのでその辺鍛えられたんだろうな。俳優としての竹内涼真を育てたのは『ドライブ』といっても過言ではないだろう。
ここから大森Pの作品群でビルドやゼロワン、キングオージャーは良くも悪くも大森Pの癖が全開になっていく作品なので、ドライブを二周して『ドライブ』はこれでもまだ抑えられてる方だったと分かるのは完走できて分かったところだ。
販促面ではタイヤコウカンは後半死に設定と化してたのが勿体無いところだった。
序盤に出した設定が後半ほとんど出なくなるのは近年のライダーの悪い癖だがドライブの頃からあったのを再確認できた。
仮面ライダー純、あれは完全に片岡鶴太郎への接待だよね?あの予算で他に使えるところいくらでもあったと思うんだけどなあ...。
MOVIE大戦ジェネシス
一応ドライブ最後のメインとなる冬映画。...になるのだがそれにしては繋がらない点が多い。
進ノ介は最終回でゴーストと一度会っているし、タケルもまた然りのはず。なのに今作で会った時に互いに初対面になっていたのはおかしい。
ゴースト側も正史扱いのはずだが、タケルが入手しているアイコンの数からも8話と9話の後だと分かるのだが、この頃のマコト兄ちゃんはタケル憎しで動いており、タケルが過去から戻ってきたところで「ダブルヒーローのご帰還だ!」と歓迎出来るような状況ではない。
不知火やクモランタンもなくゴーストが実体化してるなど設定面の粗も多い。
『ジェネシス』製作時期にまだドライブ終盤とゴースト序盤の脚本が決まってなかったという話もあるくらいだし、ちゃんと後日談をこれまでやっていたライダー冬映画にしてはお粗末で残念な出来栄えだった。
大筋の話の展開である「過去に飛んで父親と生前の姿を見るタケル」や「進ノ介が霧子にプロポーズしてからの結婚」など要素として良かった点もあるだけに残念ではある。
せめて三条陸、長谷川圭一、毛利亘宏、福田卓郎に脚本書いてもらうか監修してもらうかすれば本作の評価も変わったものになっただろう。
ドライブサーガ 仮面ライダーチェイサー
鎧武以降恒例となったVシネマ。
チェイスが既に故人なのでテレビ本編中の話をしており、ロイミュード組がまだ生きているのは感慨深いものがある。
人間の感情が無い故に苦悩するチェイスに、人間の感情を与えるエンジェルロイミュードの誘惑が迫るという話。
感情を手に入れたチェイスは、チェイスというより上遠野太洸そのままじゃね?っていうキャラ付なのは『Vシネ バロン』のシャプールを思い出す造詣だ。
Vシネらしく谷間や半裸をチラつかせる微エロや、血糊をふんだんに使ったグロなど今のニチアサでは難しい展開をやってくれたのはいいと思う。スタッフも撮れないものへの鬱憤が溜まっていたのだろう。
クライマックスで人間であることを捨ててまで仮面ライダーとしてエンジェルを倒すチェイスは孤高ながら仮面ライダーそのものであった。
ゲストキャラとの少年の約束を守れなかったのがビターエンドを醸し出している。
ラストの砂浜でライドチェイサーを駆るチェイスのシーンは松岡充の新曲も相まって葬式のような雰囲気が出ており思わずウルっと来てしまった。
映像で動く仮面ライダーチェイサーはこれで見納めだと思うと寂しくもある。
小説 マッハサーガ
今作は詩島剛が主人公となる。
進ノ介と霧子が結婚してから2年後の2017年12月が舞台だ。
再び現れた「西堀光也」が仕掛ける犯罪ゲームを相手に剛たちが食い止めようと奔走する物語だ。
ライダーの小説では珍しく回想とクライマックスにマッハとロイミュードが出るくらいで9割ミステリー小説と言える内容だ。
表紙に写ってるドライブが一切出てこないの大森Pならやりそうなことだと思った。
大森P、「実はあのおめでたいエンディングの後にこんなことがありました〜w」って感じの悪い展開するの好きだよね。
進ノ介達の結婚式もあの後ガセネタのせいで参加者の警官出動の騒ぎになって中止させられてるのそこまでしなくていいだろと思ってしまう。
小説の内容自体は真犯人の考察も含めて結構楽しめた。「アイツが犯人...?でもアイツは...」という予想はできても確信を持たせないまま「あ〜そういうのアリか〜!」と思わされてしまったので俺の負けだ。
テレビ本編で出てきたロイミュード犯罪の犯人達が一堂に会しておりテレビ本編の続きものという意味ではライダー小説の中でも上位に入るだろう。
超デッドヒートマッハとリベンジャーロイミュードも設定の再利用に唸らされてしまった。
ドライブファンなら一読する価値はあったと思う。
マッハ夢想伝
『仮面ライダー剣』以来のドラマCD。
チェイスを蘇らせる決意をした剛をメインに、協力するりんなと人口知能ヒュプノス、そして何故か復活したゴルドドライブというメンツだ。
タイトルの通り夢の中の話なのでなんでもあり。メイド喫茶でガーリーなパフェ食う剛とかなんかキャラの違うチェイスとかいきなり変身できるとか。
テレビ本編の追憶する展開も多く、剛を庇うチェイスを逆に庇って助ける剛とかゴルドドライブの言いがかりに毅然とした態度で言い返す剛とかとにかく剛の成長が見れるドラマCDだった。
1時間ほどの尺なので是非一度聴いてみてほしい。
ドライブサーガ 仮面ライダーハート/マッハ
ドライブのVシネマ第二弾。
チェイスを復活させるつもりが何故か代わりに蘇ったハート(とコアのみの復活のブレン、メディック)がロイミュードの「バグ」にケリをつける話と、小説・ドラマCDの後日談となる剛の話の二本立て。
『ハート』は即席でバディを組むことになった現さんとの交流がよかった。
一見ダメな人間に見えても心のデカ魂だけは誰にも負けない現さん。その熱意がハートにも伝わり、ハートが認める人間に進ノ介以外が増えるという構図がアフターストーリーらしい構成だったなと。
仮面ライダーハート タイプミラクルはもう少しタイプトライドロン感を消せなかったかは気になるところ。
この時はまさか「次は仮面ライダーブレンで会いましょう〜」というブレンの戯言が本当に実現するとは思ってなかった。
『マッハ』は小説の直後のお話になっておりテレビ本編のゲストキャラでしかなかった西堀令子が正ヒロインに格上げになるとは思ってなかった。
これもある種の「ライブ感」だろうか。
容疑者の女と一緒に逃走する2号ライダーという展開はVシネ『アクセル』も書いた長谷川圭一の手癖だろうか。
ボスキャラも小説で登場する真犯人そのものでありそれを再び撲滅することで西堀令子を運命から解き放つ剛という展開がよかった。
マッハチェイサーはチェイサーマッハの正規版って感じのデザインでこれはこれでありかも。
ライダーVシネ恒例「無から生えてくる女」も今回はテレビ本編がらいるキャラなので脳がバグる。後日談作るのが上手いとしておこう。
ちゃっかり剛と令子がデキてるのはライダーVシネらしいというべきか。化け物の子供同士惹かれ合うのはある意味当然なのかも。
仮面ライダーブレン
『マッハ/ハート』からリアルタイムで3年後、TTFCで解禁された令和初(?)の仮面ライダー。
戯言が本当になるとは思ってもみなかったが、仮面ライダーブレンのデザインとストーリーはTTFC産にしてはよかったと思う。
プロトドライブの改造なのもあって仮面ライダーハートよりはカッコよくて見えるデザインだ。脳と毒のモチーフも中々決まってる。
秘密組織「無」を相手に、怪人にも怪人なりの矜持がありそれを誇りに一生懸命戦ったと豪語するブレンはブレンのくせにカッコいいこと言うんだなと思った。
初代仮面ライダー1話の展開をなぞりながらブレンなりの仮面ライダーを描いてるのでTTFCの割には面白かった。
ラストの、共にデータ上で復活しているハートもメディック、それをチェックしてる剛のシーンは明らかに続編の布石と捉えているが今のところ続報はない。
『ドライブ』はここで一旦一区切り。
10周年のVシネマ、やはり可能ならやってほしいものだ。
チェイスの復活、待っているぞ。