ウルトラマンデッカー 総括

 2022年7月から放送していた「ウルトラマンデッカー」全話完走した。

 1997年に放送していた「ウルトラマンダイナ」の要素を抽出しニュージェネレーションシリーズとして1から作った作品である。

 結論からいえば手堅く「ウルトラマンZ」の流れを汲む作品だったのではないだろうか。

 ウルトラマンZで人気を博した防衛隊や特空機の要素を受け継ぎ、劇場版ウルトラマンダイナのロボット怪獣デスフェイサーのある意味後継機ともいえるテラフェイザーというロボット怪獣を登場させたりとZ人気の高さを思い知らされた。

 

 反面「ウルトラマンオーブ」のジャグラスジャグラー以降恒例となっているニュージェネライバル枠は今作においてもやはりくどかったように思える。

 宇宙進出を遂げ地球とも手を取り合っていたバスド星人アガムス。スフィアの侵攻によって愛する人と母星を失った己の不甲斐なさを地球に八つ当たりするという動機で3ヶ月間引っ張ったのはどう考えても長すぎた。

 アガムスの正体判明→テラフェイザーに乗り込み激突→和解するもスフィアによって退場、までをを描くには3話もあれば十分描けたはずである。

 ニュージェネライバル枠の活用が7年経っても進歩しないのはいささか製作陣への不満が出るがそれはまた別の機会に述べたい。

 その尺を少しでもデッカー=スフィア説や防衛隊・一般人の描写に割けたように思える。

 それ以外では手堅く描けた作品ではないだろうか。

 

 防衛隊5人の掘り下げに出自となる先代デッカー(後任?)の登場など作品としてやるべきことをきちんとこなしていたのは好印象だ。

 4話のモンスアーガー、10話のネオメガス、20話のラゴンなど怪獣面でも印象的な回が多かった。

 4話のモンスアーガーは原作で頭部が弱点ということをファンが織り込み済みな上で、劇中でシールドを張るという対策をしておりデッカーとGUTSセレクトがそれを乗り越えるという展開がよかった。

 10話のネオメガスは怪獣を兵器として扱うかというテーマでその危うさを見せていた。副隊長メイン回で展開しており、後味も重くシリアスな回だった。原作のネオザルスを意識している点もあり歴代作品をモチーフにしているから出せた旨味でもある。

 20話のラゴンはクトゥルフ的な回でどこかウルトラQらしさも感じられる良回だった。こういうSFでオムニバスな回こそウルトラシリーズの醍醐味でもある。あくまでウルトラマンデウスエクスマキナであるのに徹していたのも高評価。

 

 ウルトラマンデッカー、想像していたより楽しめた作品だった。

 今年は完全オリジナルのウルトラ作品を期待したい。