キラキラ☆プリキュアアラモード 総括

 『キラキラ☆プリキュアアラモード』とても面白かった。この1か月プリアラと共に過ごしてきたので余韻がすごく残ってる。でも不思議と喪失感はなかった。

 劇中でも触れられてるように「離れていても心は一つ」という台詞の通りプリアラを見終わったからといってプリアラとの縁が切れるわけでは無い。むしろ後追いしてる立場だからこそ分かるその後の映画客演、『はぐっとプリキュア』での客演とまたプリアラに会えるからだ。来年には20周年も控えている。

 個人的にも新生活が始まり心機一転した中での初めてのプリキュア。『魔法つかいプリキュア!』を見終わってからカウントダウンは入っていたからタイミングは予想できたのだけれど。

 シリーズ構成は『Go!プリンセスプリキュア』でおなじみの田中仁氏。脚本の質が高く安心して見てられた。キャラクターデザインは井野真理恵氏。可愛さと親しみやすさを両立したデザインが特徴的だと思う。

 個人ごとの日常を積み重ねてそれが成長や糧となり終盤で爆発する構成は今作も見事だった。いちかのやりたいこと、ひまりのスイーツへの好き、あおいのバンドへの情熱、ゆかりのやりたいことへのときめき、あきらの妹を思う気持ち、シエルの弟との贖罪。ゴープリ以降顕著だったいつか来る別れ、それまでの何でもない日常の積み重ねが大きく跳ねるのは近年のプリキュアの大きな特徴である。

 終盤でみんな一緒にいれなくなる「その後」を予感させながら一人一人将来の夢を見つけていきラスト4回でいちかのやりたいことへとフォーカスさせていった。いちかのやりたいこととは?にフックを持たせ、ラスボスとの和解、そして世界へと飛び出し、いちかの夢を見つけ綺麗に物語を終わらせた。

 今作の大きなテーマが「スイーツを通した人の想い」である。

 大好きだからこそスイーツを作りたい、大好きだからこそスイーツを送りたい、大好きだからこそスイーツを極めたい。スイーツ作りを通してそういった人の想いに焦点を当てていった作品だった。

 だからこそ大好きの反対は大嫌いではなく空っぽなのである。大嫌いとは大好きの裏返しなのだ。空っぽとは知識もない、感情もない、想いもないのである。

 大好きがあるからこそ大嫌いがある、大嫌いがあるからこそ争いが生まれる、争いが起こるからこそ闇が生まれる。ならば空っぽにしてしまえばいいというラスボスの考えに宇佐美いちか達は真っ向から向き合う。大好きがあるからこそ自分たちは出会えた。大好きがあるからこそスイーツと触れ合えた。大好きがあるからこそ今の自分たちがあるからだと。そしてラスボスの想いを汲み取り、その想いを含めて地球を巨大なスイーツとして「できあがり」させたのである。

 こんな御時世だからこそ大好きを持つ人間は捨てたもんじゃないと見えてくる想いがあると思う。光も闇も含めて想いなんだと思わされた。

 人の想いの結晶、それが『キラキラ☆プリキュアアラモード』なのである。